最近ベイスターズが強くて毎日が楽しいクラウドワークスの安西です。マネージャー的なお仕事をやらせていただいております。やっていることはこんな感じです。
社内もそうなのですが、社外の各社さんに聞いても、エンジニアがマネージャーをやりたがらないという事案が発生しているようで、空前のエンジニアリングマネージャー不足であると勝手に認識しています(当社比)。
ということで、メンバーの力も借りつつ、なぜエンジニアはマネージャーをやりたがらないのかを考えてみました。
マネジメントとは?
そもそもマネジメントとは何なのでしょうか?検索すると様々な解釈が出てきます。それぞれ微妙に違ったりしますね。
【management】経営、管理。
目標、目的を達成するために必要な要素を分析し、成功するために手を打つこと。
ビジネスにおけるマネージメントに必要な要素
1.目標、目的を明確化する
2.人材を配置し、管理する
3.担当者の能力を把握し、業務を割り当て、管理する
4.進捗状況、達成状況を管理する
5.ミーティングを行い、チームの意思統一を図る
6.情報収集を行う
など
ドラッカーの話。 diamond.jp
第1に、マネジメントとは、人の強みを発揮させ、弱みを無意味にすることである。つまりそれは、人にかかわることである。
第2に、マネジメントとは、それぞれの国や土地の伝統、歴史、文化を仕事に組み込むことである。つまりそれは、人の関係にかかわることである。
第3に、マネジメントとは、組織の目的、価値観、目標を明確にしてから、周知徹底し、常時確認することである。つまりそれは、組織の目的にかかわることである。
第4に、マネジメントとは、組織の人間を成長させることである。つまりそれは、組織の人間の訓練と啓発にかかわることである。
第5に、マネジメントとは、意思の疎通と個人の責任を確立することである。
第6に、マネジメントとは、マーケティング、イノベーション、生産性、人材育成、人、もの、カネ、社会的責任など、成果の尺度を明らかにして、測定し、向上させることである。
第7に、マネジメントとは、組織の外に成果をもたらすことである。優れた財・サービスの提供によって、世の中に貢献することである。
深いっすね(。◉ᆺ◉)。
みんなに意見を聞いてみる
そこで 「なぜ多くのエンジニアはマネージャーをやりたがらないか」 という題でみんなに聞いてみました。
マネージャーの仕事がわからない系
- 仕事のイメージがわかない
- マネージャーという職業にクリエイティビティはあるのか?
- マネージャーの仕事に意義を感じない
- マネージャーの仕事が何の役に立っているか見えない
- 多くのマネージャーはヘボい(ように見える)
- マネージャーとしてのロールモデルがいない
面倒な仕事そう系
- 面倒ごとを引き受けることになるイメージ
- 会社上層部との折衝が面倒
楽しくなさそう系
- 給料がそんなに上がるわけでもなさそう
- マネージャーやってて日々楽しそうな人そうそういないし、まあつまらない仕事なんだろう
開発していたい系
- 開発のほうが楽しい
- 自分で作ってるという実感がなくなってしまうような気がしている
- エンジニアリングって実は仕事じゃなくて趣味でやってるだけなんだけど、マネージメントは趣味にならなそう
- 技術を追求できなくなる
- 開発できなくなる日本企業の文化
- 自分自身がコード書いて、課題を解決していく達成感・快感を感じたい
- 一番下っ端としてずっと開発してるの、責任最小化できて最高だな!
- 会議ばかりでコードが書けなくなるから
- 打ち合わせばかりになる
- 特定の会社に最適化されてしまいそう
人間との対話できない系
- 人間との対話はできないけど機械となら対話できるから
- 人間との対話よりもコンピュータと対話する方が好きだから→コンピュータをマネジメントすればよいのでは
- 人よりコンピューターに向かっていたい
- コンピュータが人を管理すれば解決
その他
散々ですね(。◉ᆺ◉)。
考察
メンバーの意見を聞いてみて思ったのは、「マネージャーの仕事がわからない」と「開発していたい」の大きく2つに分かれているということです。
「マネージャーの仕事がわからない」というのは私自身の説明が足りないな、という反省(。◉ᆺ◉)。ただ見えにくいことは確かですし、冒頭の「マネジメント」で検索すると様々な考え方が出てくるように、人によってやり方も考え方も全然違います。そういう「答えが無い」というのも、わかりにくい要因の一つだと感じています。
「開発していたい」というのも当たり前で、エンジニアリングとマネジメントは必要なスキルセットが全然違います。ダーマの神殿で転職せんといかんレベル。エンジニアからマネージャーになったらレベル1から始めます。そもそもエンジニアリングに興味を持ってエンジニアになっているわけで、そんな違うものを理解することは難しいですし、やりたいとも思いにくいかもしれません。
ということから、「なぜエンジニアはマネージャーをやりたがらないのか」について、2つの理由を考えてみました。
- マネジメントについて「知らない」
- 求められるスキルセットが全然違う→「開発していたい、やりたくない」
結構当たり前ですね(。◉ᆺ◉)。
上位キャリアがマネージャーであるという矛盾
そもそも、全エンジニアがマネージャーをやる必要なんか無いわけで、日本の企業では多い(と言われている)マネージャーがエンジニアの上位キャリアである、というのは大きな矛盾です。必ずジョブチェンジをしないとキャリアが上がっていかないというのは変な話ですよね。
そこで、クラウドワークスでは、エンジニアリングを高めることで、ランク(給料)が上がるように人事制度を作っています。マネージャーにならなくても良いんです。上がる一つの評価の基準は成果の量と共に「広さ」。優れたエンジニアは、サービスや組織全体に対していい影響を与え続けることができます。視点も高く広く持っている。メンバー全員にそういうエンジニアになってほしいと思っています。それから、他にTechLeadのような役割もあるのですが、それはまた別の機会に。
ところで、おまえはなぜマネージャーをやっているんだ
メンバーから意義を感じないとか言われたり、マネジメント自体とても難しいにもかかわらず、なぜ私が今の役割をやっているのかを最後に書いておこうと思います。
私がエンジニアとしてやってきた会社は、ほぼ全ての組織でマネジメントに課題がありました。マネジメントの考え方を変えればもっとエンジニアが楽しくかつ成果をだせるのに、と世知辛い想いをしていました。同時に、マネジメントが変われば一気に組織が変わることも目の当たりにしてきています。個人的な課題感はそこで、結構使命感を持ってやってはいます。
もう一つ最近特に思うのは、世間一般でいう「上司」と呼ばれるようなマネージャーのイメージは、エンジニアだけでなく他の多くの仕事でも合わなくなってくるのではないでしょうか。世の中の変化は激しく、課題は複雑になり、答えが見えなくなってきているからです。誰か一人が全体を管理してその難題に立ち向かうのはもう無理です。もっと違う、複雑系の課題に対してアプローチするマネジメントに変えないといけない。もしかするとそれが「マネジメント」という言葉で表現して良いのかどうかも怪しいと感じます。
その前提で考えると、一人ひとりが自分で考え選択し、力を活かし、楽しく仕事をし、成果を出している環境を作るのが私にとってのマネジメントの仕事だと思ってやっています。若干面倒な仕事はありますが、結構重要な仕事じゃないでしょうか(だと思いたい)。エンジニアの皆さんも、マネジメントの重要さ、深さ、考え方を知ってみたらエンジニアとしての仕事もより深まっていくように感じています。だって、プログラミング自体人間がすることなんですから(いまのところ)!
エンジニア募集中!
クラウドソーシングのクラウドワークスではエンジニアとして一生食べて行きたいと思っている「がんばらないためにがんばるエンジニア」を募集しています!
photo credit: Teamwork and team spirit via photopin (license)