クラウドワークス エンジニアブログ

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半年間EMをやっての振り返り

クラウドワークス Advent Calendar 2021 16日目です! EM(エンジニアリングマネージャー)をしています久村です。

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エンジニアとしての経験を4年ほどした後に、EMをしています。 元々マネジメントというか、組織を良くすることに興味はあり、当時のマネージャーに自身の志向性は伝わっていたと思います。 その影響もありマネージャーの退職に伴い、今年の6月からEMの役割にチャレンジさせていただくことになりました。

この記事で、EMになってからの振り返りも兼ねて記事にしようと思います。

そもそもEMとは?

会社によって、EMに求められることは異なると思います。 クラウドワークスでは厳密にはEMという役職は存在していないですが、エンジニア組織(プロダクト開発組織)のマネージャーがEMという役割を担っており、メンバーの評価を行ったり、エンジニア組織の課題に対してアクションするなど幅広いことが求められておりました。

ただ自分のやれることも限られるので、一般的に求められることを確認しました。 参考になったのが広木大地さんの記事です。

エンジニアリングマネージャ/プロダクトマネージャのための知識体系と読書ガイド

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EMの役割を大きく分けると、ピープルマネジメント、テクノロジーマネジメント、プロジェクトマネジメント、プロダクトマネジメントになるようです。 私の場合は、自分のやりたいことと、組織が私に期待することから、ピープルマネジメントのウェイトを重くすべきと思いました。

EMのやることはエンジニアの給料を上げること

ではピープルマネジメントのゴールは何?と考えた時に、「エンジニアの給与を上げること」というのがしっくりくるようになりました。 これはメンバーから気に入られるためや、長く会社にいて欲しい一心で行うことではなく、エンジニアが会社から求められることの成果を上げ、その成果が評価され、給与が上がることがあるべき姿だと思います。

そこを起点にやったことを整理しました。

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大きく分けると、成果を上げるフォローと成果を伝達することになります。 以下でその内容を掘り下げていきます。

成果を上げるフォロー

フォローするのは組織に対してと個人に対してに分けました。 組織に対しては成果を上げやすい環境を整えるためのもの、個人に関してはモチベーションを維持・向上に関わるものと整理しました。

組織に対しての成果を上げるフォロー

まずは成果を上げやすい組織とは?を考えました。 Googleの発表によると成果を上げやすい環境のために、「心理的安全性」が最も重要とされています。

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https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/

心理的安全性について補足をすると、心理的安全性とは対人関係においてリスクある行動を取った時の結果に対する個人の認知の仕方です。 「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味するものです。

日本の心理的安全性は以下の四つの因子で成り立つことが研究結果よりわかっています。

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石井遼介.(2020) 「心理的安全性の作り方」. 日本能率協会マネジメントセンター

よって、組織に対する成果のフォローをする上で、心理的安全性の向上は重要と考えました。 そこに繋がるためのイベントを複数実施したのと、採用、チーム編成にも関わりました。 また直近でeNPSを取得するようにして、定量的にモチベーションの部分を把握できるようにチャレンジしています。

それぞれに対してやったことなどを説明していきます。

イベント実施

心理的安全性を高める上でも他者とのコミュニケーションは大事と思い、以下のことを行いました。

イベント実施(チーム外を知ること・接点を作ることが大事)
  - 雑談会(メンバーを知ることが大事)
  - リーダー会(チーム外を知ること・接点を作ることが大事)
  - エンジニアキックオフ(マネージャー・組織横断で見ているメンバーの考えていることを共有したい)
  - 開発朝会の変更(開発部長を知ることが大事)

話しやすさや助け合いは、相手の理解が深まっている方が行いやすいという仮説からです。

雑談会

その名の通り、雑談をするためのイベントです。任意参加でクラウドワークスが提供する各種サービス(CrowdWorks、Crowdtech、BizAsst、CrowdLinks、CrowdLog)のエンジニアを招待しており、頻度は月に1回で1時間の枠で行なっています。 Google Meetのブレイクルーム機能を使用し、参加者をランダムに3,4名のグループに分けて25分ほど雑談を2セット行うものです。

最初は15分3セットでやりましたが、自己紹介で終わってしまうことや、同じ人となってしまうという課題があり、2セットの運用で回しています。 参加者は多いとエンジニア全体の3分の1くらいおり、需要がある限り継続しようと思っています。

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月に1度の頻度なので同じメンバーとなっても、話すネタに困ることは少ない印象です。 メンバーから話したいテーマがあった時には、グループでの雑談に入る前に「全社キックオフの感想についてもありですね」と緩くテーマを提案することもあります。

リーダー会

これはcrowdworks.jpに関わっているエンジニアに閉じたものですが、各チームのリーダーで会話する場を設計しました。 頻度は週1回、1時間の頻度で行っています。

週1の開発朝会で各チームの実施内容の共有はしていますが、チーム数も増えたことにより、実施内容を掘り下げることができず、チームの課題等を把握しづらい状況でした。 なので各チームのリーダーをメインとして、チームの状況(共有したいこと・相談したいこと)を会話する場を作りました。

リーダーは参加必須で、メンバーは任意参加になっていますが、任意メンバーの参加も多くリーダー会という名前が実態にあっていない感があるなど、変更の余地はあります。

チーム内で解決しづらい課題を「これはリーダー会で共有しよう」という流れが出来つつあり、課題を認知する場としても機能していると解釈しています。

エンジニアキックオフ

期の初めには、キックオフを実施しています。 各チームの目標の共有と、マネージャー・組織横断で見ているメンバーの考えていることを共有する場として行いました。

エンジニアキックオフと別に事業部の定例で各チームの目標は共有しているのですが、より解像度高くやろうとしていることを共有すること(期待を明確化)で、フォロー・相談しやすいようにしたいと言う目的を持って行いました。

各チームからの共有では、抽象的な目標から一歩踏み込んで、最低限やりたいこと・可能ならやりたいこと、また各メンバーの注力ポイントを発表してもらうようにしました。

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自分自身、普段から考えていることを発信できていれば良いのですが、なかなか出来ていないのは反省点です。 エンジニアイベントを開催するのは、自身の考えを強制的にアウトプットすると言う目的もあったりしました。

開発朝会の変更

週1回、30分弱(全社朝会の後のため短縮されやすい)で行っています。 元々各チームの共有とファシリの考えていることをメインのコンテンツとして運用しておりました。 別サービスのメンバーも増えてきており、チーム共有の意義が薄れていると感じました。

上記で説明したリーダー会の開始もあり、各チームの共有の時間を短縮したのと、より各チームのことを掘り下げる時間の方が有意義だと思い、開発部長(野村さん)とチームの代表が会話する「野村さんの部屋」というコンテンツに変更しました。

変更してから数回しか実施できていないですが、初回でSREチームと野村さんが会話した時には、究極的なSREチームの目標などを話題にしており、今まで知らなかったチームの中身が見れる良い機会になったと感じました。

採用

エンジニアの人数が不足している状況であり、採用の優先度は高い認識でした。 そのため、まずはエンジニア採用を手伝ってくれる人を募りました。

6名ほどのメンバーが協力してくれ、採用活動に取り組んでいきました。 元々は参加者全員で一つのテーマの会話をしていたのですが、参加者のやりたいことも異なり、スピード感も改善の余地があったので、外部イベントをするチームと、採用フローを改善するチームに分けての活動に切り替えました。

採用フローの詳細な話は昨日の記事を見てください!

採用未経験のPOが、2か月半で3名のエンジニアを採用するためにやってよかった3つのこと

外部イベントでは、youtube liveの企画、運営を行いました。

https://www.youtube.com/watch?v=UUstcqBhIgM f:id:murasahi:20211216092505p:plain

見てくれた人からの応募や、選考に進んでいる方にもアーカイブを共有し、会社のことをより理解してもらう手段になっています。 副次的な効果として、社内のメンバーにも一緒に働くメンバーのことを理解するための機会になりました。

チーム編成

メンバーの入れ替わりもあり、チームの編成にも関わりました。 とても反省が多く、今の状況でも課題が出ている状況です。

組織としてやりたいことと、メンバーとしてのやりたいことが合うのがベストだと思いつつ、なかなかどちらも把握できていない状況でした。 また採用前提の部分もあり、今いるリソースでは回らない状況だと思う部分もありつつ、楽観的に進めてしまった点も反省です。

メンバーからも言われましたが、一時的に負荷がかかるのは仕方ないですが、恒常的に誰かに負担を強いる状況は持続性がないです。 頻繁にチームが変わるのは良くないですが、継続的に今のメンバーでベストなチームを模索し続ける必要があると思います。

eNPS

eNPSとは「Employee Net Promoter Score(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)」の略称であり、「親しい知人や友人にあなたの職場をどれくらい勧めたいか」を尋ね、「職場の推奨度」を数値化したものです。

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上記はアンケートの一部です。 アンケート自体は匿名で行ってもらいました。 イベントなどを実行していますが、それが効果があったのかは正直見えづらい部分があり、自分のやったことを反省するためにも定期的に取ることを考えています。

この数値に一喜一憂するのではなく、大事なのはメンバーとの対話だと思いますが、組織としての数値を把握する目的で行いました。 定期的に同様のアンケートを実施し、推移を確認したいです。

個人に対しての成果を上げるフォロー

個人に対してのフォローで重要な点はモチベーションを維持・向上させるだと思います。 おこがましいと思いつつも、メンバーが少しでもポジティブにクラウドワークスで働けるようになることを心がけています。

1on1

個人的に一番重要なイベントです。 何においてもメンバーの声に耳を傾けるのが重要だと思っています。

自分が1on1をさせてもらうメンバーは年齢もスキルも上の方が多く、割といつも緊張しています。

理想論で言うと、メンバーの課題や障壁をクリアするためのコーチングができると良いなと思っていますが、なかなかそれができていないのが実情です。なので、まずはしっかりと話が聞くことが今できることだと思い、日々1on1を行っています。

話しやすい雰囲気を心がけ、メンバーが感じている課題を把握できることに注力します。 その場で解決できないことがほとんどですが、組織的な課題を共有されることもあり、そうした時には上長を巻き込んだり、上記で紹介した(雑談会やリーダー会)ような解決策のトライに繋げるようにしています。

あとは、素直にすごいと思ったことを伝えています。 スキル・人間性の高いメンバーと働けることは自分にとっても有り難いことであり、それは伝える場にもしています。

目標設定・評価

新卒時代に教えてもらって覚えている数少ないうちの一つとしては、目標設定とフィードバックはセットというのがありました。

またフィードバックの仕方にはポジティブなフィードバック、ネガティブなフィードバック、改善のためのフィードバックがあり、推奨されるのは改善のためのフィードバックというのも記憶に残っています。 改善のためのフィードバックは、ポジティブなフィードバックをした上で、改善ポイントを伝えることです。

これは常日頃行うのが理想ではありますが、評価をする時は必須のタイミングであると思いました。(同様のことは上長にもアドバイスされました。) 良いポイントと改善ポイントを整理し、評価時に伝えるようにしています。

また注意している点として、自身のモノサシだけで判断できると過信しないで、他のマネージャーにも相談の場を設け、少しでも納得度の高い目標設定・評価をすることを心がけています。

メンバーの成果を伝達する

成果を上げても評価者に伝わらないと給料はアップしないと思います。

成果をうまく伝えることができる人とそうでない人がいます。 アピール力ではなく、成果によって評価されるのがあるべき姿だと思います。

ただメンバーの給与をあげたい一心で、盛って伝えることでもないです。 少しでも適切に伝わるために、普段の行っていることの理解に努めなくてはいけないと思います。

伝えるポイントとしては、会社にとって重要であること、実現難易度が高い(チャレンジしている)ことだと思っています。

EMをやってみての感想

自分事にすることが大事

先輩からアドバイスをもらった内容ではあるのですが、自分事できない課題を取り組もうと思っても途中で気持ちが萎えてしまいがちです。 なのでやることの優先度を考える時には、何を解決すべきか?も大事ですが、自分は何を解決したいか?も整理して、自分事にできることに取り組むのは大事だと実感しました。

EMとしてやることも色々な分野に分かれますが、ピープルマネジメントは自分でも関心が強いところであり、それを中心に取り組むことで前向きにトライできていたと思います。

技術力を高めることが大事

元々技術力が高くないので、ここは意識しないと信頼感を得ることは難しいと思いました。 わからないことだらけになり、任せるではなく頼る状態になってしまわないように自己研鑽が必要だと思いました。

最後に

今後も引き続き、同様のことを改善して行っていきたいのに加えて、組織文化の醸成、役割定義の改善などやれていないこともまだまだあります。

ぜひ一緒に組織を良くすることにもチャレンジしてくれるエンジニアを募集しています! https://www.wantedly.com/projects/73940

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