はじめに
こんにちは。
crowdworks.jpでワーカー向けの施策・機能開発を行うデリバードチームでエンジニアをしている駒井です。
先日、第6回「UX検定基礎(HCD検®認定)」を受験してきました。
この記事ではUX検定に取り組んだ経験についてお話しします。
UX検定基礎とは
UXインテリジェンス協会が運営している、すべてのビジネスパーソン向けのUXに関する試験です。 年間で3回ほど実施されており、今回で第6回と比較的新しい試験になります。
UX検定基礎は、ユーザーエクスペリエンス(UX)向上の取組みに欠かせないスキルとマインドを実践的かつ体系的に学ぶ、全ビジネスパーソン向けの資格試験です。
UXインテリジェンス協会では、デジタル前提の社会で、様々な業務や状況において「ユーザー」に向き合い価値提供を行うスキル・マインドセットを「UXインテリジェンス」と定義しており、一部のスペシャリストだけでなく、すべてのビジネスパーソンに求められるものと考えています。
本資格の取得によって、UXやHCD(人間中心デザイン)の基本的な概念やその実践方法のアウトラインを理解し、自らの業務に活用するための基礎知識を有することを証明できます。
受験のきっかけ
元々UXに興味があったのもありますが、一定の知識を得ることで業務にも活かせそうと思ったのがきっかけです。 デリバードは仕事を獲得できるワーカーを増やすことに注力するチームなので、UXについての理解がありユーザーの行動・心理を考慮した上で開発ができると、よりユーザーに寄り添ったプロダクトが作れると思いました。
学習方法
この試験は新設の試験であることから過去問題集などが存在しなかったため、UX検定概要ページに記載されていた下記のようなシンプルなやり方で学習しました。
- 推奨されている4冊の学習図書の読み込み
- 出題範囲(シラバス)の重要ワードの意味の理解
学習推奨図書
アフターデジタル2 UXと自由
著者:藤井 保文 出版社:日経BP社
アリババやテンセントといった中国の巨大企業を例に、行動データの活用やDX事例が紹介されていました。 また日本と中国の比較をもとに、これからの日本企業がDXを進める上での実用例について提示しており、とても印象に残りました。
UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論
著者:藤井 保文 ほか 出版社:日経BP社
『アフターデジタル2』で語られたビジョンをもとに、実践するための具体的な方法が紹介されています。 知識のインプットというよりも、考え方を学ぶための本という印象を受けました。
人間中心設計入門(HCDライブラリー第0巻)
著者:山崎 和彦 ほか 出版社:近代科学社
ユーザビリティ、UX、デザイン思考の基盤となる人間中心設計(HCD)を学ぶための本です。 UXという概念がどのように定義されてきたかという歴史的な変遷が記載されていたり、UXに関連した技術、分析方法やHCDのプロセスなどについても紹介されています。 UXの資格として有名な「HCD-Net人間中心設計スペシャリスト」になるための入門書といった印象でした。
ユーザビリティエンジニアリング: ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法
著者:樽本 徹也 出版社:オーム社
4冊の中で一番読みやすかったです。 アンケートやフィールドワークなどの利用状況の把握のためのインタビュー法や、インタビューで得たデータの評価方法など、優れたUXを実現するための手法が多く紹介されています。 ユーザーテスト時の具体例や、実施時のtipsなどが知れて個人的には面白みのある本だなと感じました。
出題範囲(シラバス)の重要ワード
UX検定の概要ページにシラバスがあったので、カテゴリや重要ワード部分をコピーし学習管理表を作成しました。 重要ワード列では学習図書に出てきたワードを太字にしていくことで自分が読んだ範囲を明確にするようにしていました。
また下記のように、4冊の学習図書内で出てきた重要ワードのページ数や学習図書で出てこなかった重要ワード・自分が大事だと思ったこと等のメモを記載する列を作成し、必要に応じて調べた内容を記載するようにしました。この学習管理表を見ればどの本に何が書かれているかを把握でき、自分がまだ学習できていないカテゴリを明確にできるため、この学習方法は自分に合っていたのではないかと思います。
その他
基本的には上記のやり方で学習していたのですが、調べたところChatGPTに知識をインプットさせて練習問題を出してもらうような方法で学習していた方もいらっしゃいました。 この方法もとても良さそうと思ったので、似たようなケースがあれば次はこの方法でやってみたいですね。
受験結果
受験日から約2週間後「【第6回UX検定基礎】受験結果のお知らせ」のメールが届きました。
ドキドキしながら結果を見ると、無事合格でした!
合格基準点は公開されていないので分かりませんが、思っていたよりも点数が取れていたのでひとまずホッとしました。
UX検定を受けてみた感想
まず単一選択式100問を100分で解く形でしたので、ある程度は知識として理解しておかないと時間的にギリギリになりそうかなと思いました。 また実際の出題された問題を思い出すと、学習図書やシラバス以外からもいくつか出題されており、応用力が試されるような印象を受けました。 UXに取り組む上で必要な基礎知識だけでなく実践的な考え方や視点が幅広く問われる試験だと思いました。
業務への応用
今回UX検定に取り組む中で学んだことを業務でも活かしたいと思い実践してみました。
その中の一つとして、思考発話法があります。
思考発話法の特徴は、ユーザに「考えていることを話しながら操作してもらう」ことです。
操作プロセスに沿って随時、「今、何を考えている」「次にどうしようと思う」「なぜ、そうしようと思ったのか」をすべて発話してもらえば、ユーザが製品のどの部分に注目して、それをどのように解釈して、どんな行動を取ったのか詳細に把握できます。
思考発話法を使ったユーザテストは、単にユーザが「失敗した」「戸惑った」「不満を述べた」という事実の発見にとどまらず、「なぜ失敗したのか」「なぜ戸惑ったのか」「なぜ不満を述べたのか」まで明らかにできる、非常に強力な手法です。
ユーザビリティエンジニアリング(第2版)ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法 著 樽本徹也 から引用
この思考発話法をスプリントレビューの際に取り入れました。
スプリントレビューとはスクラムイベントの一つで、スクラムチームとステークホルダーがスプリントの成果を検査し、そこで得た情報に基づき今後の適応を決定するためのイベントです。
このスプリントレビューで成果物を検査する際に、下記のように事前に準備したシナリオをもとにステークホルダーに思考発話をして頂きつつ成果物の画面操作をして頂きました。
実際にやってみると、ユーザーの行動の理由や、何を見ている / 見ていないのか が明確に分かり、とても参考になりました。
終わりに
UX検定を受験してみて、UXの基礎知識について学ぶことができました。 また得た知識を業務にも活かせたことで、今後はよりユーザーに寄り添ったプロダクト開発に繋げることができそうです。
余談ですが、我々のチームミッションである「スムーズなマッチングでワクワク、ゴキゲンを増やす」の「スムーズ」には「洗練されたUXであること」が含まれています。 今回のUX検定に取り組む過程で得た知識・経験を活かし、引き続きミッションの体現に貢献していきたいと思います。
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