クラウドワークス エンジニアブログ

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良いチームについて考え、新しいチームミッションを決めた話

crowdworks.jpでエンジニアリングマネージャー兼スクラムマスターをしている久村です。 2021年からエンジニアリングマネージャーをしており、昨年の5月より1つのチームのスクラムマスターをすることになりました。

スクラムマスターは、良いチームに向き合い続けるものだと思います。 良いチームを自分一人で考えることもあれば、チームで考えることもあります。

今回はスクラムマスターとして、チームで良いチームについて考え、その後に新しいチームミッションを決めた内容を記事にしようと思います。

スクラムがうまくいっているかの確認

より良いチームにしていくためにまず行ったのが、スクラムがうまくいっているかの確認でした。 昨年の7月に以下の記事を書いており、スクラム改善の取り組みを進めていました。 https://engineer.crowdworks.jp/entry/2023/07/28/182753

取り組みの結果として、メンバーが現在のチームのスクラムについてどう感じているかを把握するのが目的でした。

質問項目を考えるのは難しかったので、ryuzeeさんの以下の記事を参考に作成し、メンバーに自己評価をしてもらいました。

https://www.ryuzee.com/contents/blog/5033

以下がアンケート結果を集計した内容です。 項目は載せていないですが、3は出来ていると評価しており、1は出来ていないと評価したものになります。

評価の高かった項目の一部

  • 開発チームが必要なときにはいつでもプロダクトオーナーにコンタクトできる
  • プロダクトオーナーと開発チームが敵対関係でなく会話している
  • プロダクトオーナーが開発チームの意見を聞いている
  • 開発チームは困ったことがあったらすぐに開発チームや周りに相談している
  • 開発チームは困っている人がいたら助けている
  • ふりかえりでみんなの意見がでる
  • スクラムボードが乱雑ではない
  • 開発チームは必要があればすぐに追加のタスクを起票している
  • 悪い報告をしても責められない 次に何をしたらよいか?と指示を求めたりしない

評価の低かった項目

  • 開発チームは頻繁にタスクの残時間を更新している
  • デイリースクラムまでにバーンダウンチャートを更新している
  • メンバーが急病などで休んでも機能している
  • ふりかえりで出たアクションアイテムができているか確認している
  • ふりかえりを待つまでもなく改善できることを常時改善している
  • 毎スプリントごとに開発チームのやり方が変わっていっている

結果からチーム内での発言のしやすさやは良好であり、タスクの管理や即時にチーム改善をしていくことは機会点があると認識しました。 評価の低かった項目の中からここを改善していきましょうという流れも良いと思いましたが、より改善すべきポイントがないかを探りたいと思ったので、別のアプローチからチームの注力すべきポイント考えることにしました。

良いチームについて考える

チームで良いチームとは?について会話する場を作りました。 「スクラムがうまくいっているかの確認」はスクラムにフォーカスした項目であり、より広い観点でチームについて考えたいという意図です。

まずは各メンバーに意見を出してもらいました。 幅広く考えて欲しかったので、細かい条件は加えずに、「良いチームとは?」と投げかけをしました。

それぞれのメンバーの意見が素晴らしかったです!

出た意見をグループ分けして、良いチームの要素を俯瞰してみれるようにしました。 まとめていく中で「良いチームの状態になるために」と「ユーザーのために」で分けれると会話し、良いチーム状態になった先に、ユーザーに価値を届ける状態になると考え、→をつけて可視化していきました。

ユーザーのためにの項目では、すでにできている項目、できつつある項目が複数あること、また3か月前にチームの担当ドメインをアップデートしたが、それに伴うミッションのアップデートはできていないことから、まずは良いチーム状態になることを目指した方が良いと会話しました。

その後、良いチーム状態になるためにの項目の中で特に注力すべき点を会話し、「チームの役割理解」の優先度が高いと判断しました。 チームの役割理解を深めることで、チームの存在意義を認識しそれを軸に活動ができることや、チーム外からの期待値調整を適切にできる状態にしていきたいという考えです。

スクラムがうまくいっているかの確認をした時よりも、今回の内容の方がチーム改善のポイントとして適切であり、改善する納得度も高かったので、「チームの役割理解」を改善することに繋げました。

新しいチームミッションを決める

上記の良いチームの会話を行い、チームの役割理解が重要と理解しました。 そこを改善するためにチームミッションのアップデートが望ましいと考えました。

元々チームミッションはアップデートしたいと思っていましたが、今回のチームでのやり取りを通じて、よりその重要性が理解でき、優先度を上げて対応を進めました。

チームミッションは以下の図のように位置すると考えています。 会社・事業部のミッションに接続できるものであり、日々行っている延長線上にあるものがチームミッションです。ここが明確になることで、自チームの存在意義の理解が深まり、結果としてチームの役割理解にも繋がると考えました。

チームミッションの抽象度は難しいですが、図で表現したように事業部ミッションよりは具体的なものにしつつ、具体的にしすぎて手段の制限が強くならないように注意しました。

進め方としてはインセプションデッキにもある「我々はなぜここにいるのか」をチームで考えました。 具体的には「チームは何のために存在するのか」を問いとしました。 ただ漠然として答えづらい可能性もあり、参考として以下の問いも立てて、考えやすいものに対して回答してもらいました。

  • このチームとして成し遂げるべきこと
  • どのような価値を提供していきたいのか
  • 3〜5年後にチームとしてこうなっていたい

こちらもメンバーの意見がどれもよかったですね!

出揃った後で、グルーピングを行い、俯瞰してみやすいようにしました。 このチームは注力ドメインとして「マッチング」を担っており、この領域での意見が多かったです。

マッチングでのミッションを果たすことで、プロダクト、ブランディング、チーム改善にも繋がるとチームで会話し、ミッションとしては我々のドメインに関わる「マッチング」からチームミッションの言葉を考えることにしました。

具体的には、体験価値提供、数、質を表現するのにどういう言葉があるかを出していきました。 一例ですが、マッチングの質の場合だと以下の言葉が出てきました。

  • より適した
  • より合った
  • 業務内容が合っている
  • 報酬額が合っている
  • 働きたい意志がある人に価値を届ける
  • ご機嫌になる
  • ワクワクする

ある程度出揃った後で、その言葉をどう繋ぐと良いかを会話していきました。 いくつかの候補を出し、他の人の意見の一部を変更した方が良い等会話しながらチームミッションの表現に落とし込みました。

参考までに決定したチームミッションです。

メンバーからのFBもポジティブで、この作業を通して、チームとしてより納得度の高いチームミッションにできたと感じます。

チームミッションを浸透させるために

チームミッションを決めていく中で、チームの役割理解を多少は深めることはできたと思います。 ただそれで完了ではなく、このミッションを基に日々チーム運営できる状態にすることで、より良いチームに近づいていきます。

そのために適切なタイミングで、チームミッションへ接続することが重要と考えました。 チームミッションを日々意識するというよりは、日々の行動の先にチームミッションがあります。  普段意識すべきはスプリントゴールで良いと考えています。 よって、プランニング時にチームミッションを確認し、そこに近づけるために今スプリントで何をするかを決める流れが望ましいと思い、アジェンダの最初に追記をしました。

またPOが主体的にリファインメントのアジェンダにも追加してくれていて、PBIの優先度を確認する上で、チームミッションを意識できるようにしてくれました。

これらを通じて、チームミッションを意識すべき時に触れれるようにし、浸透を促進したいです。

加えて、定期的にミッションに向かうことができているかを確認する場が必要です。 具体的には3ヶ月毎にチームミッションに向かえているかを確認する振り返りの場を作りたいと考えています。

またチーム名を変えることも検討中です。crowdworks.jpの開発組織ではチーム名を自由に決めて良い文化になっています。現在のチーム名は「デリバード」というチーム名ですが、当時のミッションから変更したのもあり、チーム名を再検討する予定です。

まとめ

良いチームについて考え、その後に新しいチームミッションを決めた話でした。 自分一人ではなくチームで会話を進めることができたことで、ミッションをアップデートする目的や重要性をより理解できました。チームメンバーに感謝です。

ミッション作成に関しては、完成度の高いチームミッションを作ることも大事ですが、それ以上にチームメンバーと作り上げるプロセスが大事だと思います。 実際に作ることに関わるからこそ、自分事化できるはずです。

スクラムマスターとして今回の変更の結果、チームが役割を軸に行動できているか、チーム外から自チームの理解を持ってもらえているか確認していき、そこでの気づきを活かして良いチームに繋げていきたいです。

引き続き、より良いチームになっていきたいです!

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