はじめに
こんにちは、クラウドワークスでエンジニアをしている沼田です。 今回は所属している「クラウドログPC管理」チームにおける活動をお伝えします。
私は、M&Aをきっかけにクラウドワークスにジョインしました。 新しい環境、新しい仲間、そして新しい開発スタイル。
最初は正直、戸惑うことも多くありました。 ですが、振り返ってみると、この変化は自分にとって大きな成長のきっかけになったと感じています。
大きな転機となったのが、スクラムの導入です。
これにより、働き方やチームとの関わり方が大きく変化したと実感しています。
環境の変化を通じて見えてきた課題と、スクラムを取り入れたことで得られた気づきについて、実体験をもとにお話しします。
2. スクラム導入前の課題
スクラムを導入する前、私たちの開発チームにはいくつかの課題がありました。
一番大きかったのは、属人化と個人プレーの蔓延です。 M&Aを経て開発体制が変わる前、業務の進め方は「この作業はこの人がやる」といった固定化された作業が多く、それが前提になっていました。
具体的には、以下のような状態でした。
- 知識やノウハウが特定の人に依存していた
- 「この機能は◯◯さんに聞かないと分からない」
- 「あの人がいないとタスクが止まる」
- 仕様の確認に時間がかかっていた
- タスクに取りかかる前に、都度個別で仕様を確認する必要があった
- チームでの情報共有が不足していた
- デイリースクラムのような習慣はなく、それぞれが黙々と作業に集中する日が多かった
3. なぜスクラムを取り入れたのか
私自身が導入を主導したわけではありませんが、背景には主に以下のような目的がありました。
- 機能開発の効率を高めたい
- チーム内のコミュニケーションを活性化させたい
M&Aによって異なる文化や働き方を持つメンバーが一つのチームにとして開発を進めていく中で、お互いを理解し、協力し合える環境づくりはとても重要なテーマだったと納得します。
実際、「はじめまして」の関係からスタートし、 しかもリモートで稼働していた私にとっては、会話のきっかけが自然に生まれることは少なく、 なかなか話す機会を持てないことにもどかしさを感じていました。
そんな中でスクラムには、以下のような定期的な対話の場が組み込まれています。
- デイリースクラム
- スプリントプランニング
- レビュー
- レトロスペクティブ
これらは単なる進捗確認や振り返りの場にとどまらず、メンバーのことを自然に知るきっかけとなり、会話の心理的ハードルを下げる効果もあると、実際に取り組む中で強く感じました。
スクラムを通じて「話すのが当たり前」という空気が少しずつ生まれ、その結果、チームとしての一体感や安心感が育っていったように思います。
4. スクラム導入で起きた4つの変化
① 属人化からの脱却とドキュメント文化の定着
スクラムを始めてまず変わったのは、「属人化は避けよう」という共通意識が芽生えたことです。 それまでは、個人に閉じていた情報をチームで共有する意識が根づき始め
- 教えてもらった内容をドキュメントに残す
- 未整備な内容はまとめて、次に渡す
といったアクションが、チームの文化として根付いてきました。 「次にやる人が迷わないようにしよう」という視点が自然と生まれ、再利用性の高い知識が蓄積されるようになったと感じます。
② 情報共有と対話の定着
デイリースクラム、スプリントプランニング、レトロスペクティブなど、スクラムでは定期的な対話の場があります。 この習慣が、チームに圧倒的な情報共有の流れを作ってくれていると感じます。 特に「デイリースクラム」は、ただの進捗報告の時間から、
- チーム内の状況を“見える化”する場
- 詰まりや課題を素早く共有し、支援し合う場
- 小さな気づきやナレッジをリアルタイムで交換する場
へと進化していきました。 以前は黙々と作業していた時間が、今では会話と共有を前提にした時間に変わっています。
③ チームでの安心感と協力体制
日々の対話を通じて、「チームで動いている」という感覚が強まりました。 個々が「自分のタスクをこなす」のではなく、「チームで成果を出す」という意識へと変化していきました。 その意識を育てるきっかけになったのは、PBL(プロダクトバックログ)やスプリントプランニングの進め方です。
- PBLアイテムごとに「このスプリントでは何を目指すか」を明確にし、チームでゴールを言語化・合意する
- プランニングの場では、「今回はこのアイテムを完了させよう」といった、チーム全体で達成を目指す内容を共有し、合意してからスプリントに入る
といったプロセスを繰り返すことで、「これは自分のタスク」ではなく「これはチームで達成するもの」という意識が自然と根付いてきました。 スプリント中も、誰かが余裕がありそうであればタスクを巻き取る場面が増え、個人プレーではなく、チームでフォローし合う動きが活発になってきていると感じます。
④ 目的志向へのシフト
もう一つ大きな変化として感じているのが、「タスクをこなす」から「目的を考えて動く」姿勢へと変わってきたことです。 スクラムでは、誰がどのPBL(プロダクトバックログ)を担当しても進められる状態が理想とされています。そのため、誰がアサインされても対応できるよう、背景や目的をきちんと理解しておくことが必要です。 特定の人しか意図を知らない属人化の状態から脱却し、チーム全体で理解を深めながら進めていくためにも、私自身も次のようなポイントを意識して開発に取り組むようになりました。
- 目的を理解する
- 背景を把握する
- ゴールを明確にする
- 実現方法を整理する
タスクをただ“こなす”のではなく、意味や目的を理解しながら取り組むようになったことで、開発そのものに対する楽しさも深まったと感じています。
5. まとめ:スクラムがもたらした自分とチームの変化
スクラムを通じてコミュニケーションの機会が増えたことで、私自身、大きく3つの変化を感じています。
属人化をなくす意識がチームに芽生えたこと
「助けて」と言えるようになったこと
ゴールを明確にし、その背景を理解して開発に向き合えるようになったこと
今では「チームで成果を出す」ことや「背景」を自然と意識するようになっています。 また、スクラムを導入してからの期間は、「どう取り組めばいいのか?」を学ぶことに集中してきました。 ですが、これからはその一歩先へ進み、「どうすればもっと良くなるか?」を自分たちで考え、動いていく姿勢を意識していきたいと思っています。
これからもスクラムを活かして、もっと良いチーム、もっと良い開発にしていきたいと思います。